ふるさと納税 福島県内102億円 2024年度、初の大台 6市町が1億円超増 日用品返礼の自治体で顕著

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ふるさと納税 福島県内102億円 2024年度、初の大台 6市町が1億円超増 日用品返礼の自治体で顕著

福島便り


2024(令和6)年度に福島県内59市町村に寄せられたふるさと納税の寄付額(速報値)は前年度比で13億6838万円増の102億3484万円となった。初めて100億円の大台を超え、過去最多を更新した。福島市が前年度比6億7千万円超増えた他、会津若松、伊達、本宮、会津坂下、棚倉の5市町が前年度から1億円超の増加となった。物価高騰を背景にコメや日用品などを返礼品としている自治体への寄付額の増加が顕著だった。
県が7日までにまとめた。年度ごとの寄付額の推移は【グラフ】の通り。制度が始まった2008(平成20)年度は総額1億3557万円だったが、16年で約75倍になった。県市町村財政課によると、近年は物価高騰の影響でコメや生活必需品などの返礼品が多く選ばれる傾向にあるという。
各市町村への寄付額と、前年度との増減額は【表】の通り。前年度より増えたのは36市町村。寄付額最多は福島市の21億3799万円で前年度より6億7千万円増えた。市によると、2023年度から返礼品への感想をコメントした人に特典を贈る「レビューキャンペーン」が好評で、同市産果物に対する高評価の口コミが多数寄せられたことなどが好調の要因という。
矢吹町は前年度比約5106万円増の6140万円で、前年度からの増加率が全市町村で最も高かった。町は昨年度、商工観光課内に「ふるさと納税係」を新設し、返礼品登録などに注力。元々70種類だった返礼品の数を約150種類に増やした。コメの需要増加を受け、高額の寄付者には町内産のコシヒカリや天のつぶを3カ月連続の定期便で届けた。担当者は「町の認知度が高まったはず」と受け止める。
棚倉町は町内に生産拠点を構える日用品大手のユニ・チャームのペットデオシートなどの商品が人気だ。同社の製品は2018年から返礼品に採用し、寄付額の約95%を占めるという。町担当者は全国でペット用の返礼品が少ないため需要が伸びていると分析。「ユニークな返礼品が全国で認知されつつあり、約半数がリピーター」としている。







36市町村で寄付額が前年度を上回った一方、23の市町村で前年度から減少した。減少率が県内ワーストだった双葉町は2023(令和5)年度に一個人から高額の寄付を受けていたのが大幅な減少の要因という。高額寄付分を除いた額は、例年よりも2倍程度の寄付額となっており、町の担当者は「返礼品の種類拡大を検討するなどして、今後も多くの支援を受けられるように努めたい」としている。
いわき市は、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に伴い「常磐もの」を応援する機運や大雨被害を支援する動きを背景に前年度は大幅に寄付額が増えたが、2024年度は2億4966万円減った。担当者は「2022年度と比較すれば、増えており、近年導入した新たな返礼品へのニーズは高い」とみている。