福島便り
改正道交法の施行により自転車乗用時のヘルメット着用が努力義務化されて2年が過ぎたが、高校生の着用率の低さが依然として課題となっている。福島県内で昨年1年間に起きた自転車事故の死傷者数のうち高校生の着用率は1割に届かず、年代別で最も低い。生徒の命を守るためヘルメット着用の義務化を校則で定める学校も増えている。5月は自転車月間。県警は被害を軽減するため着用の重要性を呼びかけている。
福島県内で2024年の1年間に起きた自転車による人身事故で、全体の死傷者数は325人で高齢者4人が死亡した。このうち高校生の傷者数は92人で着用率は9・8%と年代別で最も低い。一般は139人で着用率は14・4%と次いで低かった。
高校生の着用率が低調な理由に、県警本部交通企画課は髪型が崩れるなど外見を気にする生徒が多いとみる。一般の年代を含め安全運転への意識が低く、ヘルメット購入を渋っていると分析。同課の安部明調査官は「自転車安全教室や啓発活動を通じて着用促進に努めていく」と話した。
須賀川市の清陵情報高と須賀川創英館は今春の入学生からヘルメット着用を義務化した。清陵情報高は全校生の約8割が登下校に自転車を利用し、年間通して事故が起きていた。違反を見つけた時は厳重注意するようにしている。昨年夏に生徒の自転車と車が接触し、ヘルメットを着用していたことで大事に至らなかったケースがあったという。大田智寛教頭は「頭部を保護することで重症化を防げることを伝えていきたい」と語った。
平工高は昨年4月に着用を義務化し、ルール徹底の意識醸成につながった。先崎隆幸教頭は「子どもの命を守ることが最優先だ」と強調する。着用の有効性を生徒と保護者に1年かけて説明し、義務化への理解を得た。
警察庁によると、自転車乗用中の交通事故で亡くなった人の約5割が頭部に致命傷を負った。2020年から2024年までの5年間に自転車事故で主に頭部を負傷した死者・重傷者で、ヘルメットを着用していなかった人の割合は着用していた人に比べて約1・7倍高くなった。